ルアーの『色の効力』についての検証。
ルアーを選ぶ時の基準にカラーを重視する傾向は誰にだって有りますよね(^_^;)
どんなベテランアングラーであっても状況に合わせてカラーを選びウェイトを調整する事は基本です。
バスの世界でも、トラウトの世界でも、ソルトウォーターの世界でも例外ではございません(^_^;)b
だからこそマッチザベイトやマッチザハッチという釣り用語も存在するわけですね‥。
なのに‥。
餌そっくりに似せたワームなどにセット(隣接して取り付け)するオモリ(ジグヘッド)自体に塗装した物が少ない事。
イミテーション(疑似化)においてせっかく完成度の高いワームを選んでいるのに、不自然で怪しげな物(鉛)をそのまま隣接させて使用する‥それが当たり前と認識されている事が盲点と言えます。
恐らくそれは、〝ジグヘッドに色が着いていなくても釣れる”という事実がアングラーを〝麻痺”もしくは無意識の内に〝妥協”させているのでしょう。
かく言う私も別にジグヘッドに色が着いていなくても釣れる‥と思っているのは確かです(^_^;)>
そう、確かに釣れるんです(^_^;)>
しかし、色を塗る事で更なる釣果の可能性が出てくる事は否定できないんです。
ターゲットの学習能力や色の識別能力に大きく影響を及ぼすことが証明できればどうでしょう。
アジングなどではたった数インチ前後のワームに1g程のジグヘッドを装着して釣りを行う訳です。
こういう場合にはたして全体(全長)の何割が違和感のある部分になるのか考えるとワームのビジュアル的クオリティをかなり殺している可能性はあると思いませんか(^_^;)?
色が及ぼす影響について
魚は光の原色それぞれの屈折率が違う環境(水中)で生活しているため、人間と同じ色に見えているとは思えません。
しかし、色をある程度識別できるなら同じ系統の色は人と魚で水中で違う色に見えていても、同じように変化して見えるはずです。
●例えばの話。
人間が陸上で青に見える小魚が水中のアジには緑に見えたとしましょう。
青いルアーで良く釣れると感じて投入すると、それはアジから見るといつも捕食している緑の物に見えるという事です。
人間が見ている色がそのままアジに映っているいるとは言い切れないにしても、その色がアジに効果を発揮している事が言えるかもしれません。
未塗装と塗装済みの比較では。
魚影が濃く活性が高い場所を転々としながらスタッフが並んでキャストする‥という事の繰り返しを何度も行い結果を見ましたところ、どの組み合わせでも釣れた数に大きな差は出なかったものの食い込み度の差に違いが見られました。
未塗装のジグヘッドに多く見られたジグヘッドの頭(鉛の部分)が口から出た状態の掛かり方に比べて、塗装済みのジグヘッドでは頭(鉛の部分)まで口の中に納まって上がって来る場合が多く見られました。
〔未塗装のジグヘッドでの食い込み方〕
〔ホログラム塗装のジグヘッドでの食い込み方〕
どう解釈するかは自由なのですが、鉛の部分(ヘッド)に対する違和感や警戒心より着色やラメの視覚的効果等で好奇心、又は捕食対象物としての認識の方が上回ったと考える方が自然だと思うわけです。
簡単に言うと鉛むき出しの無機質なヘッドではワームの部分だけをエサ(食べられそうなもの)として認識している傾向があるのでは‥という事。
若しくは警戒してそこまで口に入れなかったという見方も出来ます。
もっと真実味を帯びた言い方をすると、警戒心が幾分か好奇心に寄ったのではないか‥という見方も出来るかと思うんですね(^-^)b
ヘッド部分にワームの近似色やラメを施す事でエサとしての一体感(全て食べられるかも)を僅かでも意識させるのではないでしょうか。
色による釣果の比較。
デイゲームにおいてもラメを施したジグヘッドではボトムダートさせてコンスタントに釣果を出す事も出来た事をうけ、釣果の違いがどの様に出るか検証してみました。
やはり釣れ難い状況でこそ違いが出るのでは?‥もしそうであれば‥など妄想しつつ‥。
今回は敢えて魚影が薄く活性も低いエリアでどこまで釣果を引き出せるか‥という所に視点を合わせて釣行。
苦戦を強いられながらも集中力を維持しながらキャストを繰り返す仲間。
そして反応の少ない場所においてもラメ入りのヘッドにアタリが集中するという結果が見られ、確実にヘッドの部分を意識している事は間違いないように感じるものでした。
更にダーク系とチャート系の色でのデータは場所や水質にもよると思われますが、圧倒的にダーク系にラメを施した物かヘッドにラメのみを施した物だけがバイトの数が多いという結果になる反面で白やピンク、イエロー等をベースにしたジグヘッドで釣れた個体のサイズが平均して大きかったという結果も見られました。
もしかすると膨張色によって感覚的に大きく見える事により、良型の個体を選んでバイトに持ち込めた可能性があるのか、あるいは大型の個体の食性(例えば魚食性による色の好み)があるのかもかもしれません。
本来、アジ位の魚なら食物連鎖の中で(捕食者側だったとして)も餌を獲るのに命がけであることには違いないはずです。
自然界では小さい物を何度も危険を冒して捕食するより大きい物を出来るだけ最小限の回数で捕食し腹を満たすという方がメリットが有ると文献で見た事が有ります。
そもそも自然の摂理はそういった複雑な駆け引きの上に結果として成り立っているのだから我々人間の想像が正しいかどうかはジャッジできる者は居ないのです。
ですが釣りをする上でこういう視察力や考察力は大変重要です。
色々考えるとこの推測はまだまだ想像の部分が大きい訳ですが、学術的理論においても効果が全く無いとは言い切れないのではないでしょうか。
ただ単純に明るい色に対して警戒心を抱いたためバイトの数が減った可能性も考えられるのですが、あくまでも可能性で言えばどうでしょう。
たまたまなのかもしれません、しかしこの度の調査結果だけで見ると色によってサイズ選択が出来るかも‥という見方も否定しきれない結果でした‥。
更にアジではワームとヘッドの色について統一感のある組み合わせが釣果に繋がっていたという結果も出ていたので少しお話しておきましょう。
アジングにおいて良く使われるクリアー系ですが、この中でもラメを施した色は全国的にも共通して定番色と言えます。
そこでクリアーのホログラムラメのワームにホログラムラメ塗装を施したジグヘッドと合わせて釣ってみた所、それまで数投に一度のバイトだったのが連続でアタリが出るようになり、他の仲間も同じような感触を得たと申しておりました。
偶然捕食対象に近い色合いだったのか‥それとも鉛部分の違和感がキラキラする事で多少なりとも好奇心に変わった結果なのかアジにしか分かりませんが、奥の手として使える可能性は十分にあるのではないでしょうか。
着色による決定的な反応変化を検証。
もっと説得力のあるデータを得たい!
ならば釣り分けによる捕獲数の違いを平均値で出すとどうだろうか。
そこでジグヘッドに対するターゲット(アジ)の意識変化を調べてみようという話になりました。
人間には未知の領域でもやり方によっては必ず何か明確な変化が出るはず‥。
と、言う訳で手っ取り早いのはワームを付けずにジグヘッドのみでどこまで興味を引く事が出来るか‥なんて極端な検証方法を行ってみました(^_^;)
初日は時化直後の月夜で明るい中潮‥。
潮は干潮寸前‥状況的にはあまり良い方では無いもののジグヘッド単体での効果を実証するためのアジングゲームを開始。
釣友にワームを付けたいつも通りのリグでアジが居る事を先に確認してもらい、自分が未塗装のジグヘッドだけ(ワームを敢えて付けずに)で反応をチェック。
更にもう一人はカラーリングしたジグヘッドでワームを装着し、ヘッドのカラーでどの色に一番反応が出るかを調査依頼。
また更に別の釣友には従来通りの未塗装ジグヘッドにワームを装着して反応を見てもらうようにしました。
この日はアジの活性が高くないのか、アタリに凄くムラが有ると感じたのを覚えています。
群れも大きくなく広範囲を回遊している様で的が絞りにくく、風の影響が更に釣りを難易度の高いものにしていました。
0.9gのジグヘッドのみ(ワーム無し)では水の抵抗を受けにくくアクションもオーバー気味になる為、一定のレンジを引くのも至難の業‥あたりまえですよね(^_^;)>
それでも未塗装のジグヘッドで3度目のライントラブルがあるまで根気よくキャストし続けましたが案の定ノーキャッチで終了‥勿論アタリすら無いという結果でしか(^_^;)
よほど活性が高くない限り、ワームを付けずに釣るのだから当然と言えばそれまでなんですけど‥💧
それでも新発見の可能性と期待を胸にバカバカしいとも言えるテストを続行<(`^´)>
数時間粘っても結果は変わらず、残りの時間と下がり続ける潮位の事も考えて塗装済みのジグヘッド(これもワーム無し)に変更。
その際、ワームを付けたカラーリングジグヘッドの釣果データでダーク系にラメの入った物が反応が良いと聞いたので参考にさせてもらいその色を選択してみました。
(因みにシャンク部分にもホログラムのカラー溶液を添付しワームンをセットする際のズレ防止と内臓に見せかけるカラーコーディネイトを施してあります)
もちろんデータ取りのため先程まで使用していた物と同じ銘柄のジグヘッド(重量も同じ)をチョイス。
やはりワームが付いていないと水の抵抗が無いだけにオーバーアクションになり、すぐにトレースラインから外れてレンジを見失ってしまう始末(T_T)
とにかくジグヘッドがどの様に動いているのかも想像がつかない手探りの釣りになりました。
正直言って釣れる気がしない‥そんな感触をロッドから受けつつも自分に何とか言い聞かせながら神経を集中させていると数等目で生命反応らしき手応えが‥(゚Д゚;)!!
‥しかし生命反応らしきものは消え、残念ながらジグヘッドのみが先程までと変わらず戻ってきました。
感触からして魚だと思ったのですが、ちゃんと釣り上げてみなければ検証にならない訳で‥💧
気を取り直し、同じラインを意識してすぐに打ち返し全神経を集中。
そして遂に明確な生命反応を捕らえ、アワセを成功させてロッドを曲げることに成功!!
しっかり口にジグヘッドを咥えて上がってきたのは予想どおりアジでした!!
これが今回の検証(ワーム無し)で獲ったアジの第一号となったのですが、活性が低い上に悪天候で低潮位‥はっきり言って自分も釣れると思っていなかったので凄く驚いたと同時に感動したのを覚えています。
〔 ブラックベースにホロラメ塗装ジグヘッド +ワーム無しの食い込み例①〕
〔ブラックベースにホロラメ塗装ジグヘッド+ワーム無しの食い込み例②〕
これらは着水ヒットでは無く、着底からダートさせてのテンションフォールで獲ったものが多数。
状況からして目で見て判断し、口を使ったのではないかと思えるアタリの出方の可能性が高い。
この一匹を獲る数キャスト前にもショートバイトが有ったのを考えるとやはり色による差が出ている様に思える。
程なくして潮位が下がり過ぎ、釣り自体が困難な状況になったためここは打ち切って撤収しました(^_^;)
〔未塗装ジグヘッド+ワームの食い込み例〕
〔ラメ塗装済みジグヘッド+ワームの食い込み例①〕
〔 ラメ塗装済みジグヘッド+ワームの食い込み例②〕
こうしてみると食い込み方の違いが見て取れます。
また、検証後に時間内での反応の平均比率を出すと‥。
カラーリングしたジグヘッドのみ(ワームを付けずに)で1匹獲るまでに
ワームを装着したカラーリングジグヘッドは7-8匹。
ワームを付けた未塗装のジグヘッドで4匹。
因みにワームを付けなかった未塗装のジグヘッドで0匹でした。
群れも大きく活性の高い時ならジグヘッド単体(ワームを付けずに)でも釣れる時が有るのは経験済みですが、今回の様な状況下での結果は非常に大きな発見と言えます。
注目すべきは同じ時間内でのバイトの比率です。
鉛むき出しの未塗装ジグヘッドにワームを付けて釣った時と、カラーリングしたジグヘッドにワームを付けて釣った時の効果は一目瞭然でした。
更に未塗装のジグヘッドでワームを付けないでキャストし続けたとして、到底アジが釣れたとは思えなかった訳です。
まだまだテストを続ける必要は有るのですが、少なくともこれで塗装を施す事により警戒心を緩和する効果が実証できたと言えるでしょう。
カラーによる攻略法は色んな可能性を秘めていて、食いの渋い時の最終手段からキーパーを揃えた後の大型個体を誘惑するカラー(膨張色)選択、更にはヘッドの変形などから保護する被膜として使うのも有りです。
ただ、鉛に塗装する場合は特殊な専用塗料でなければ色がすぐ剥がれてしまいますので、今回は東邦産業から専用で発売されているダイアカラーを使用しました。
この塗料(ダイアカラー)は、鉛だけでなくタングステンにも下地処理無しで直接塗れる優れものです。
ただこれだけではせっかく塗った色が長時間ワームをセットしたまま放置するとワームのオイルで溶けてしまう事が有るのでウレタンコーティングをしておく事をおすすめします。
マニキュアの様に容器のふたを獲ると内側にはけが付いているので非常に塗り易いです(^-^)
ダイアカラーは薄く塗った場合だと20分程で硬化しますが、ウレタンコーティングは出来ればまる1日乾かすことをおすすめします。
そして乾燥させる環境は湿度の低い室内で自然乾燥させる事。
湿度が高いと乾いた時に白濁したりくすんだ色になるのでご注意ください(^_^;)
最後に対象が今回のアジだけでなくメバル等のライトゲームのターゲットに対しても様々な効果が期待できると思う次第です。
ただ魚を釣る事だけでなく、なぜ食って来たのかどういう理由が絡んでいたのか考察すると釣りのもっと深い所が見えてくるかもしれません。
この実験は5ヶ月の期間を費やして幾度となくポイントに通い、多くの協力者の助けを得て検証した結果だということを付け加えておきます<m(__)m>
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